山日記
++写真は拡大します++

小さなヒュッテはずぶぬれの人々で溢れ、乾燥室は干す場所を見つける事が困難な状況でした。一畳に3人位だったでしょうか。横を向いたまま寝返りも打てない状態。 夜中ずっと暴風が続き、屋根 壁を打つ雨風の激しさに明日どうしようかと眠れない一夜でした。

 朝 雨こそ止んでいましたが重く垂れ下がった雲の下 稜線には強風が吹き荒れ常念岳方面はアイスバーンになっているということでした。
 蝶ヶ岳山頂を目指す事は諦め徳沢へ下る事に。
 蝶ヶ岳 常念岳へ向かう強行組は少なく、ほとんどの人は下山を決めたようでした。 
ここから恐怖の下山となりました。

 先に下山した人達の足跡がくっきり雪の上に付いていました。
それがすーっと鮮やかに谷に向かっていました。こんなに早く下ったかしらと昨日の事を思いましたが登山者のほとんどがその足跡を追いました。
最初に間違った人の付けた足跡を皆が進んだのです。 そのは足跡は何の迷いも無くまっ逆さまに谷へ向かっておりました。

本当の斜度はせいぜい40度位かも知れませんが。下る本人にとっては 80度90度にも感じる程の斜度でした。木の根 草 掴めるものなら何でも掴んで雪の斜面を滑り落ちていきました。
 一足踏み出す恐怖、間違えば数メートル滑り落ちる恐怖。足が震え体が震えました。
この時登山技術のある人の身のこなしの鮮やかさに驚かされました。急斜度の谷を彼らはピッケルを腹の前で水平に持ちバランスをとりながらリズミカルにぴょんぴょんと飛ぶように下って行かれました。

私たちがたどり着いた所は新村橋近くの谷筋でした。
 この経験であっさり雪のアルプスは諦めました。

やっと下りました 穂高の峰々
徳沢 焼岳 梓川

 地元の雪山は何度か経験がありますが、雪の北アルプス デビューで連休に蝶ヶ岳を目指すことに。 徳沢園に前日から泊まりました。道を踏み外せば肩まで埋まる積雪の中、どんより曇った空の下を蝶ヶ岳ヒュッテ目指し出発しました。

 3泊4日  (宿泊地)  徳沢園 蝶ヶ岳ヒュッテ 徳沢園 

  1975   上高地-蝶ヶ岳-徳沢園-上高地 ( 五月 )