山日記
 長旅に加えかなりハードなこのコース。私にはかなりこたえました。日毎に食は進まず、明日は徳沢への下りという槍ヶ岳山荘の夜、疲労は頂点に達していました。胃痛で食事は喉を通らず、夜と朝の2食抜きました。

徳沢までは頑張れましたが、上高地への道は一足一足の歩みで胃に激痛が走り、「頑張ってね!」と観光客に励まされて、河童橋に到着しました。 
 せっかく登った太郎山には薬師沢への急な下りが。高天原からは大きなゴロゴロ石にふら付きながら雲ノ平へ。

祖父岳頂上を極めれば黒部源流への非情な下りが。源流の流れに手を浸した後は三俣山荘へのだらだらの登りが。そして頂上の地 槍ヶ岳へ延々続く登り。

登った分だけ必ず下る。下った分以上に必ず登る長旅でした。
けれども秘境高天原でのくつろぎが辛く長い山旅を癒し明日への気力回復に繋がり、
雲ノ平から見あげる広い広い空の爽やかさは辛さを忘れる素晴らしいものでした。 

優雅な山並 広大な風景 静かな道  裏から入る槍ヶ岳への旅が好きです。
 富山から電車 バスで有峰 折立へ。太郎平から槍ヶ岳への長い長いコースです。
 関西方面からはどのアルプスに行くにも時間がかかります。登山口に辿り着くまで一苦労。
薬師沢小屋の夕食の岩魚は前の川で釣られたとか、なかなかお肉にありつけない奥深い山では貴重な動物性たんぱく質です。
 この頃リュックの中には牛肉の大和煮缶 ウィンナーソーセージ ゆで卵 きゅうり レモン 果物 乾パン 缶ジュース 缶みかん そして命をつなぐ遭難用のチョコレートと水。重い補助食料が詰まっていました。

 ほとんど重い物は夫のリュックの中でしたが 他にシュラフやコッヘル ナンヤカンヤで夫のリュックの異常な重さ。カメラに三脚 ご苦労様です。私のリュックは非常食と自分の物だけです ハイ。それでも量ってみると20kg近くありましたヨ。

 
高天原温泉は時間を区切って男女交代に入浴。私、湯の花を知りませんでした。
湯船に浮かんだおびただしい白いものを男どもの垢だと思い気味悪くて浸かれませんでした。スコップ持って上部で温泉を掘って入っている人もいました。常連さんでしょうね。
 高天原はやはり奥深い秘境。池塘のまわりがワタスゲで真っ白になった頃にもう一度訪れてみたいものです。
 祖父岳頂上付近の昼食時 隣の人のラジオから「ニクソン失脚」が流れていました。後年北穂小屋で「寅さんが亡くなった」のうわさも耳にした事もありましたが、「山旅」と「出来事」が重なって相互にオーバーラップするようで、より記憶に刻まれます。

 水晶岳を目の前にして雪渓の道を行く時 あまりの美しさに涙が溢れてきました。
高天原への登り 雲ノ平への登り そしてここまでかなり辛い登りの後に目にする美しさ。景色に涙したのはこれ一回きりです。以後風景に泣くほど感激したことはありませんが、稜線を空中散歩する時の爽快感、雄大な眺望はいつまでも目の奥、心の深くで甦ります。

                                           

朝の稜線 鷲羽岳 槍ヶ岳頂上      
苗代の原 雲ノ平山荘

前夜発 5泊6日 

 薬師沢小屋 高天原山荘 双六小屋 槍ヶ岳山荘 徳沢園



1日目  富山・・・折立・・・太郎平・・・薬師沢小屋

2日目  薬師沢小屋・・・高天原山荘

3日目  高天原・・・雲ノ平・・・黒部源流・
      ・・・三俣・・・双六岳・・・双六小屋

4日目  双六・・・槍ヶ岳山荘 

5日目  槍ヶ岳・・・徳沢  

6日目  徳沢・・・上高地・・・帰宅

(苗代の原) 
 
アクリル画 SM号
高天原 高天原にて 高天原
徳沢園
  1974   折立-高天原-雲ノ平-双六岳-槍ヶ岳-上高地
常念岳を望む 黒部源流
高天原温泉男子入浴中 女子済みました
水晶岳 ちょっと泣けました
+写真は拡大します+