山日記
++写真は拡大します++

水平道
どこにいるでしょうか

ヒュッテから裏剣 

 欅平では「名剣温泉」へ。欅平の中心よりかなり離れていましたが静かで落ち着くだろうと思い 前もってしっかり予約をしておりました。確か宿は一軒だけ。  
 広々とした玄関で私達の登山姿を見た仲居は「ちょっと待ってくれ」と言って奥へ入ったまま なかなか出てきません。
 やっと案内された所は旅館の横の別棟のまるで物置小屋 従業員の仮眠室か・・・・・?布団が積み重ねられた狭い狭い部屋でした。食事は旅館で温泉客と一緒です。 物干し竿やバケツの転がる軒下を通って本館へ行きました。
 わざわざ選んだ宿です。下山後の疲労をおして長い上り坂を旅館に向かいました。疲れ切ってたどり着いた登山姿は浮浪者にでも見えたのでしょうか。 登山者を馬鹿にされたようで悔しい限りでした。
 新婚で若い二人ですから文句一つ言えませんでした。山小屋泊まりに慣れてしまっていましたので 登山者は「こんなものか」と無理に納得させましたが どう考えてもおかしな話です。
 登山ブームでしたのに剣岳の帰りに宿泊する人は今までいなかったのでしょうか?
 
 近頃は水平道や仙人池が脚光をあびて 阿曾原の温泉小屋がシーズン中 登山者で溢れている様子をテレビで見ました。あの「名剣温泉」も登山者に もうあのようなひどい扱いをしているとは思いませんが・・・あの悔しさは忘れられません。 おばさんになった今だったら「訴えてやる」・・・と言うところです。責任者出て来い!・・・今更遅い!
 このあたりは全く温泉地なのですね。登山姿は珍しくてどうも異質・・・何か居心地が悪いのです。 どしゃぶりで地震の岳沢の下り ずぶ濡れで泥だらけの私達を暖かく迎えてくれた上高地の宿とは大違いでした。


 この旅以来 登山は上高地を最終地点と決めた縦走になりました。
真砂沢キャンプ焚き火 仙人池ヒュッテから八ッ峰 仙人池から 仙人池から裏剣
 いよいよ剣岳登頂です。巨大な岩の塊 「もっと足が長ければ少しは楽かも」と思ったように覚えております。カニの横ばい、縦ばいは知らないうちに通り過ぎ山頂へ(2998m 8:50着)若さとは大したものです。・・・恐かったとは覚えておりません。
のんびりゆったり眺望を楽しみ引き返して山荘へ。そして剣沢雪渓に向けて出発です。

 長い雪渓ではアイゼンを装着しました。楽々です。雪渓の雪で氷金時を食べたくて、缶詰をもって来ていました。深いところの雪をとってあずきをのせて。美味しかったこと。
 剣岳はロッククライミングの人々の世界。真砂沢は彼等の拠点、山小屋にはザイル ヘルメットの山。雪渓上を行き交う彼らは重装備。のんきな我等とは違っていました。 
 ここから仙人池への道の遠かったこと。 道が無くなり 川に浸かったり崖をよじ登ったりで。途中掛け声ばかり大きなヨレヨレの学生パーティーとすれ違った以外誰とも会いませんでした。

 仙人池からの眺めは忘れられません。
 NHKの「人間ドキュメント 仙人池ヒュッテのかあちゃん」を観ました。彼女にお世話になったのですね。窓から広がる裏剣 池に映る姿の素晴らしさ、毎年訪れる人の気持ちが分かります。大きな大きなまん丸おにぎりが二つ入ったお弁当、美味しかった。ありがとう。
 阿曾原までの水平道は楽しかったですねえ でも遠かった。3−40cm幅くらいの板や木の道の下は絶壁です、横壁の鉄線を掴み進行。真っ暗のトンネルは途中でカーブ。まるでお化け屋敷でした。
鹿島鑓ヶ岳 カニの横ばい 八ッ峰 剣沢雪渓
 前夜発で電車バスを乗り継ぎ標高の高い室堂(2450m)からいきなりの出発は高度順応が充分では無く 出足からなかなかしんどいものでした。
 どの旅でもそうですが初日は足が動きません。

8:30雄山に向けて出発です、リュックの重さは私が20kg弱 夫が40kg強ほどありました。混み合った雄山山頂を過ぎると人影はまばらになり、剣沢へ下る頃には我々以外誰もいませんでした。

 剣沢の雪渓は大学の夏スキー合宿の若者で溢れていました。明日は御来光を見た後、剣岳を登頂します。
 今では「ようそんなに早くから頑張れるなあ」というところですが かつては『御来光』を見るのはあたりまえのように目覚めました。 小さなリュックにお弁当 非常食 私が落ちれば大変とザイルも詰めて4:30出発です。暗闇の中ヘッドランプの列が続きます。
 少し薄明かりがもれ始めた一服剣で朝食を取りながら日の出を待ちました、オコジョを見たのはこの時が初めてでした。
 雲の上から太陽の頭が少しずつ現れ完全に昇りきるまでのわずかな時の美しさ。登りきったとたんに太陽の色が変わるのです。朝食を済ませて出発です。
剣岳 長次郎谷 仙人池から裏剣    水平道
立山方面 仙人池への道 一服剣

1日目  室堂・・・雄山・・・一の越・・・剣山荘

2日目  剣山荘・・・剣岳往復・・・剣山荘・・・真砂沢山荘

3日目  真砂沢山荘・・・仙人峠・・・仙人池ヒュッテ

4日目  仙人池ヒュッテ・・・阿曾原峠・・・名剣温泉

5日目  欅平・・・宇奈月・・・富山・・・帰宅

前夜発  4泊 5日

     剣山荘 真砂沢山荘 仙人池ヒュッテ 名剣温泉

  1975   室堂-雄山-剣岳-仙人池ヒュッテ-欅平